冬山装備の重要アイテム②「アイゼン」特徴や選び方をご紹介
雪山ではピッケルに並び欠かせないアイテムがアイゼン。ドイツ語の「Steigeisen」からそう呼ばれているようですが、最近では英語の「Crampons」からクランポンという呼び方も一般的になりつつあります。
靴底につける金属の爪で滑り止めとして用いられます。
アイゼンには用途によっていくつか種類があります。主に10~12本爪のものを「アイゼン」、4~6本爪のものを「軽アイゼン」と呼びます。また、簡易的なチェーンや短い爪が付いた「チェーンアイゼン」というものも存在します。
それぞれの特徴や選び方をみていきましょう。
タイプ別の特徴
①アイゼン(10~12本爪)
Q.「アイゼン」と「軽アイゼン」、どっちがいいの?
アイゼンの選び方は、やはりピッケル同様に登る山によって変わります。「アイゼン」と「軽アイゼン」の違いは爪の本数だけではありません。。
10~12本爪の「アイゼン」ではつま先側先端の2本が前に向けて突き出た前爪があります。急な斜面では雪面につま先を蹴りこみ足場とするキックステップという登り方をしますが、この時にアイゼンの前爪が雪面に食い込み滑りにくくなります。
前爪の有無で斜面の登りやすさが大きく変わる。
つまり急な斜面があるような登山道だったり、森林限界を超える山では「アイゼン」が必須です。冬の緩やかな低山ハイクや夏の雪渓では「軽アイゼン」でも対応可能です。
稜線上の歩行はアイゼン、ピッケルが必須
Q.10本爪?12本爪?どっちがいい?
アイゼンは主に10本爪と12本爪の2タイプがあります。初心者の方、特に初めて10本爪以上のアイゼンを使おうという方でしたら基本的に「12本爪」を選ぶべきでしょう。10本爪に比べ爪が多い分、雪面との摩擦が増え滑りにくくなるので安全です。
Q.どんな登山靴にも取り付けられるの?
登山靴にも大きく分けて3タイプあり、つま先とかかとにアイゼンを取り付けるための「コバ」があるかどうかで変わってきます。
①コバがないタイプ【ベルト式】
ベルトで巻き付けながらアイゼンを固定するため、多くの登山靴に対応が可能です。しかし着脱に時間を要するのとベルトが緩むなどのデメリットもあります。
元々コバがないタイプの登山靴は雪上歩行を想定して作られていないので、難易度が高めの冬期登山には不向きです。
②かかとだけコバがあるタイプ【セミワンタッチ式】
かかと側をレバーでロックしつま先側はベルトで固定するタイプです。ベルト式に比べ安定感があり、着脱も容易です。
ただしこのタイプの登山靴は、夏季のヨーロッパアルプス等の氷河や岩稜帯を歩行するのに対応した登山靴です。本格的な冬山登山用の登山靴ではないため注意が必要です。
③つま先とかかとの両方にコバがあるタイプ【ワンタッチ式】
つま先側を金属のフックで、かかと側はセミワンタッチ式と同じレバーでロックするタイプです。ベルト式ではないため外れにくく着脱も容易です。本格的な雪山登山に対応可能です。
②軽アイゼン(4~6本爪)
軽アイゼンは4~6本の爪を持った簡易的なアイゼンです。冬季でも森林限界を超えない傾斜の緩い低山や夏季の雪渓歩きなどでは活躍してくます。
こちらもよく4本と6本爪のどちらを選ぶべきか?という質問を受けます。
基本的には6本をお勧めします。4本爪の軽アイゼンは軽くてコンパクトですが、足裏の土踏まずの部分にしか爪がないためグリップ力が低く滑りやすいです。
つま先側を金属のフックで、かかと側はセミワンタッチ式と同じレバーでロックするタイプです。ベルト式ではないため外れにくく着脱も容易です。本格的な雪山登山に対応可能です。
爪が効く範囲が大幅に違うため、グリップ力に大きな違いが出る。
oxtos(オクトス)
6本爪ラチェット式アイゼン OX-040
予めコース上に雪があり、軽アイゼンをつけることが分かっているような時は迷わず6本爪を選びましょう。
春先の低山など、すでに雪はほぼないが念のため軽アイゼンを持っていく…程度のシチュエーションであれば4本爪でも対応可能でしょう。
林道や残雪期で軽アイゼンは活躍してくれる。
③チェーンアイゼン
チェーンアイゼンは凍結した路面での使用に効果を発揮します。もともとは登山用よりも舗装路や林道の凍結した箇所でのすべり止めが目的です。したがって爪も短く、少しでも雪が柔らかいと爪は引っかかりません。
また、急な斜面や荷物が重い場合などはチェーンに負荷がかかり切れたりすることもあります。
そんなチェーンアイゼンですが、ほとんど積雪のない地域の低山ハイク等では活躍してくれるでしょう。
日本には数多くの素晴らしい景色があります。同じ場所でも季節によって見ることのできるものは全然違います。アイゼンやピッケルの正しい使い方を学び、まだ見ぬ景色に挑戦しましょう。案外、あなたの家の近所にも絶景があるものですよ。
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